【まとめ】遮音性能を高める法則のまとめ
みなさん、こんにちは!
大阪を拠点に防音室の設計・工事をしている防音専門業者の創和防音です。
DIYが流行っている昨今。
防音室を自作する人も多く、YouTubeなどで実際に自作している人がその光景や過程を動画にして公開しているものも多く見ることが出来ます。
そういった方たちがどのようにして防音室を作っているかと言うと、ほとんどはインターネット上で得た知識で作っています。
ですが、インターネット上に出回っている防音の知識の多くは正しい情報ですが、中には誤ったものも存在します。
そのため、正しい知識を発信している人や企業の情報を収集することが大切です。
そして、それと同じくらい大切なこととして「遮音の原理原則」を知ることが大切です。
なぜなら、原理原則を理解していれば、誤った情報を見た時にすぐに気づくことができるからです。
そこで、今回の記事では防音室を自作している人に向けて「遮音性能を高める法則」についてまとめた記事を作成しました。
この記事を読んで遮音の原理原則を理解し、正しい知識で防音と向き合って頂ければと思います。
■遮音性能を高める基本法則は3つだけ
インターネット上には色々な防音に関する知識が飛び交っていますが、基本的に遮音性能を高める法則は3つしかありません。
防音の様々な知識やテクニックも元をたどればこの3ついずれかの法則に行き当たります。
そうなのであれば、まずこの3つの法則をしっかりと覚えた方が防音に対する理解は早まります。
それでは早速その3つの法則を紹介したいと思います。
「遮音性能を高める3つの法則」とは、
「質量則」
「中空構造」
「防振」
の3つです。
それでは順番に解説していきます。
■遮音性能を高める基本その1「質量則」
質量則とは、簡単に言うと「重量が重い程遮音性能が高まる法則」のことです。
例えば、重さ100kgの壁と重さ200kgの壁があったとします。
この両者の遮音性能を比較した場合、重さ200kgの壁の方が約5dB遮音性能が高くなります。
「重さ200kgの壁の方が遮音性能が高い」ということです。
質量則では具体的に何dB音が遮音できるかといった計算が可能ですが、そこまで理解しようと思うと非常にハードルが高くなってしまうので、まずは「重たいもの程遮音性能が高まる」ということをしっかり覚えれば問題ありません。
「質量則」を知っておけばインターネット上で飛び交う「防音に関する誤った知識・対策」のほとんどに気が付くことができます。
例えば、「壁に吸音材を貼る」防音対策にはほとんど効果が無いことがわかります。
なぜなら、吸音材自体は重量が軽く、質量則の観点からみて遮音性能が低いことがわかるからです。
(※厳密には吸音によって室内の騒音レベルは若干下がりますので効果が全くないわけではありません。ただし、微々たる効果です。)
詳しくはこちらの記事で解説しています。
■遮音性能を高める基本その2「中空構造」
中空構造とは、材料と材料の間に空気層(中空層)を持っている構造のことです。
中空構造を採用した壁・床・天井はそれぞれ「二重壁・二重床・二重天井」などと呼ばれます。
中空構造が遮音に効果的となる理屈は単純に、「1枚の壁よりも2枚の壁の方が遮音性能が高くなる」という理屈によるものです。
中空構造が遮音において重要視される理由は、「質量則」よりも効率的に遮音性能を向上させることができる点です。
ただし、中空構造ではその「中空層」の厚みによってはかえって遮音性能が下がってしまう場合があるため注意が必要です。
これには「共鳴透過現象」が関係しています。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
■遮音性能を高める基本その3「防振」
防振とは、字の通り「振動を防ぐこと」を意味しています。
音には空気を伝わる「空気伝搬音」と固体を伝わる「固体伝搬音」の2種類があります。
防振はこの内「固体伝搬音」を効果的に防ぐものです。
遮音を実現する上では「空気伝搬音」も「固体伝搬音」も両方共対策しなければなりません。
なぜなら、いくら空気伝搬音だけしっかり対策していても、固体伝搬音の方が聞こえてしまっては全く遮音にならないためです。
あまり馴染みのないワードかもしれませんが、防音においては必要不可欠な要素であり、ほとんどの防音室で「防振」が行われています。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
■この3つの法則を合理的に組み合わせた構造「浮き構造(Box in Box構造)」
そして、これらの3つの遮音の法則を合理的な形で組み合わせると「浮き構造(Box in Box構造)」と呼ばれる構造が生まれます。
これはほとんどの本格的な防音室で採用されている特殊な構造です。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
もし、これから防音室を自作しようと考えている人の中で「本格的な防音室」を考えているのであれば、「浮き構造(Box in Box構造)」については是非理解しておくと良いと思います。
■まとめ
遮音性能を高める基本法則は
「質量則」
「中空構造」
「防振」
の3つです。
この3つを押さえることで、誤った防音の情報を避けることができるようになると思います。
また、これらの3つの遮音の基本法則を合理的な形で組み合わせると「浮き構造(Box in Box構造)」と呼ばれる、ほとんどの本格的な防音室で採用されている特殊な構造が現れます。