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実は騒音には「2つの種類」があるんです! では対策方法も違うの?

みなさん、こんにちは!

大阪を中心に関西の防音室の設計・工事をしている創和防音です。


今回の記事では「騒音の種類」について書きたいと思います。




 

■騒音には「2種類」ある?


普段生活している中で聞こえてくる騒音。


色々なものがあると思いますが、主に上階からの足音 ・窓の外のバイクや車の音 ・隣の部屋の話し声 ・近所の工事現場・工場等からの機械の振動音 等ではないでしょうか?


聞こえてくる分にはどれも同じ騒音ですが、

実は騒音は大きく二つのカテゴリーに分けることができます。


それは

「空気伝搬音」

「固体伝搬音」 

の2つです。


この記事では、それぞれの音の特徴を解説し、その対策方法についても紹介したいと思います。



 


■「空気伝搬音」とは?

「空気伝搬音」は、音源から発せられた音波が空気を通じて伝わる音です。


恐らくほとんどの人が騒音と聞いて最もイメージしやすいものがこれなのではないでしょうか。

空気伝搬音の特徴として、伝播速度や到達距離は周囲の空気の温度や湿度、圧力によって変化します。

空気を媒介としている為、その媒介の影響を受けるという事ですね。


「空気伝搬音」の身近な例としては、人の声、テレビやラジオの音、道路や鉄道の交通音などがあります。

歌ってる男性



 

■「固体伝搬音」とは?

「固体伝搬音」は、音源が直接物体を振動させ、その振動が固体を通じて伝わる音です。


固体伝搬音の特徴として、固体の密度や弾性が音の伝わり方に大きな影響を与えるため、

同じ音量でも材質、構造が違えば受ける影響(聞こえてくる音)は大きく異なってきます。


固体を媒介としている為、こちらもその媒介の影響を受けるという事ですね。


例えば、上階の住人が歩く音、洗濯機の振動音や、壁を叩く音などがこれにあたります。

固体伝搬音の例

特に集合住宅(マンション)などでは建物の構造躯体が建物全体を通して繋がっているため

構造躯体を通じて固体伝搬音が建物の全体へと伝わり、階や部屋を跨いで騒音が伝わりやすく、騒音問題へ繋がりやすいと言われています。


この記事を読んでおられる方の中に「上階の住人の足音に対するクレームが、自分の部屋の下に住んでいる人から来た」という経験がある方もおられるのではないでしょうか。

それは「固体伝搬音」の性質上あり得る事というのがわかると思います。



 


■では、それぞれの騒音に対する対策とは?

これら二つの種類の騒音は、それぞれ伝達メカニズムが異なるため、対策も異なります。


では順番に対策の例を見ていきましょう。


「空気伝搬音」の対策方法

空気伝搬音は主に窓や扉、壁などの建築要素を通じて伝わります。

以下に効果的な対策方法をいくつか挙げます。


①吸音材の使用

壁や天井に吸音材を設置することで、空間内での音の反響を減少させ、室内の騒音レベルを若干下げることができます。


ただし、これは室内の音の反響を軽減する効果しかない為、外部からの騒音を軽減する効果は殆ど期待できない為注意が必要です。


吸音材が音の遮音もすると思われている方が散見されますが、吸音材単体では遮音の効果はありませんので注意してください。




②ドアと窓の隙間の密閉

ドアや窓の隙間を密閉することで、外部からの騒音の侵入を防ぎます。


防音において空間を密閉する事は基本です。


例えば、防音性能の高い窓を導入してもそれを開けている間は全く防音効果が得られないことは簡単に想像できると思います。(当たり前ですが・・・)


「空間を密閉せずに隙間が開いている状態」というのはそれと同じ状況だと言えるのです。


だからこそ、防音において空間を密閉する事は基本中の基本なのです。


隙間を埋める為のグッズは数多く市販されており(Amazonなどで主に隙間を埋める用のテープが数百円からで販売されています。)比較的取り組みやすい対策ですので、開口部からの騒音が気になる方は是非試してみてください。




③二重窓の設置

二重窓を設置することで、外部からの騒音を阻止します。


これは特に交通量が多い場所などで有効です。


防音上、窓や扉といった開口部は防音性能において常にボトルネックとなっている為、そういった箇所を対策する事は最も重要かつ、一番手っ取り早く防音効果を実感できる方法と言えるでしょう。


ただし、先程までの対策と比べると若干値が張る対策となります。


窓のサイズにもよりますが、小さい窓で7万円以上、大きい窓で30万円程度かかる様です。


また、お部屋の建物の構造や条件などにより商品代や工事費が異なる様ですので、事前によく調べる必要があります。



④壁の遮音性能を上げる

この対策は2つ目と3つ目の対策をし終わった後、もしくは同時に取り組んでください。


というのも先程記載した通り、防音性能においてボトルネックとなっているのは開口部である為、壁の遮音性能を上げても他の開口部から音が漏れてきていては部屋全体の防音性能はそこで足を引っ張られる形で上がらないのです。


また、この対策方法は費用的にも時間的にも負担が大きい対策となりますので、DIYでやるにしても工事会社等に依頼するにしてもそれなりの覚悟が必要となりますので、ここまでの対策をすべきかどうかは慎重に考えるべきでしょう。



 


■固体伝搬音の対策方法


体伝搬音は建物の構造を通じて伝わるため、対策には振動を媒介している建物本体か、騒音源本体に対するアプローチが必要です。


では、こちらの対策方法に関してもいくつか提案したい・・・という所ですが、

こちらは残念ながら対策の方法は一つしかありません。


というのも、固体伝搬音は建物の構造躯体を通じて伝わる為、その音を防ぐことを考えた場合、

建物の構造躯体と部屋全体とを「物理的に縁を切る」ことでしか対策ができないからです。


そのような、建物の構造躯体と部屋との物理的な縁が切れている構造の事を


「浮き構造」

または

「Box in Box構造」


と呼びます。

浮き構造の説明

なお、「浮き構造」の部屋を作るという事はすなわち、弊社の様な防音の専門的な知識を持っている会社に依頼して防音室を作るという事を意味しています。


とは言え、騒音に悩まされている方がその為に防音室を設置するという例はあまりありません。

それは、被害を受けている側が対策の費用として支払う額としては防音室を作る費用は大きすぎる為です。


ですので、身も蓋もない話になってしまいますが、固体伝搬音に悩まされている場合は基本的には騒音主に騒音を抑えてもらう様に管理会社などに協議してもらったり、そもそも固体伝搬音があまり響かない住居(RC造等)に引っ越すなどが現実的な選択肢だと思われます。


この様に騒音を受ける側の固体伝搬音の対策は非常に敷居が高いというのが実情です。


この事から言える事は、固体伝搬音を受ける側が殆ど対策ができない以上、

固体伝搬音を出す側が固体伝搬音を抑える様対策をする事が最も重要と言えるでしょう。


今回の記事ではあくまで騒音を受ける側ができる対策に絞って紹介しましたが、 別の記事で騒音を出す側ができる対策について紹介していますので、是非こちらをご覧ください。



 


■まとめ

今回の記事では2つの騒音の種類とその特徴を解説した上で、騒音を受けている方向けにそれぞれの騒音に対する対策方法をいくつか提案してみました。


ですが、固体伝搬音に関しては騒音を受けている側が個人でできる範囲で対策できる方法はほぼありません。


騒音を出す側ができる対策についてはこちら(現在執筆中)をご覧ください。



 


■おまけ

今回紹介した騒音に対する対策方法は全て「騒音の大きさそのものを低減する方法」でしたが、人間にとって音というものは心理的な要因も大きく、静かな場所では音は大きく聞こえ、うるさい場所では音は小さく聞こえるものなのです。


この人間の心理的な仕組みを生かした騒音対策があります。


それは、自室内でTVや音楽などの音を流す事です。

寝ながら音楽を聴いている人

音響の世界ではこれを「暗騒音を大きくする」と言うのですが、暗騒音というものは対象の騒音(外部からの声や振動)以外の常に聞こえてきている音の事です。


騒音というものは暗騒音が大きければ大きい程暗騒音に紛れる形で小さく聞こえますので、自室内でTVや音楽などを流すことで問題となっている騒音が気にならなくなりやすいです。


この対策はかなり効果的ですが費用がかかりませんので騒音に悩まされている方は是非試してみてください。


ただし、あまり大きな音で流し過ぎると今度は自分が騒音主になってしまいますのでご注意下さい。




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