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「ライブハウスの音環境調査」Fireloop店長足立さんとの実験

みなさんこんにちは! 創和防音のちくわです!


昨日、大阪の寺田町駅近くにあるライブハウス「Fireloop」さんへ音環境の調査へ伺いました。

足立店長より現状の抱えている課題も共有頂き、6月10日に色々な資材を持ち込んでもっと音環境をよく出来るかを実験させて頂く予定です。


今回は前段階として調査に伺いその内容を確認していきたいと思います。


fireloop


 

Fireloopの音環境について


店長の足立さんから共有頂いた点は2点です。


・80Hzと1500〜1800Hzがブーストしても上がってこない。


ちなみに足立さんは計測にsmaartを使って測定されているようです。

残響時間なども計測できる優れものなので興味のあるかたはHPで詳細覗いてみてはいかがでしょうか? 創和防音では基本的にはリオンの精密騒音計を使用しています。


特定の周波数帯で起こる音響障害は様々な原因が考えられます。


・部屋の固有振動数の問題 ・共振による音響障害 etc...



今回は80Hzにフォーカスして調査をしてみました!

まずは会場マップを確認してを考えてみます。



fireloop内部の図面

ホール部分はL字に近い形になっています。

こちらを3Dで簡単に表現したのが下の画像です。


天井部分は入り口からステージかけて、上がっていく傾斜となっておりステージ部分では逆の傾斜が作られています。フラッター対策も色々されてて本当に素晴らしいですね!


fireloopの立体図


創和防音の社員数名で話し合った結果、疑うべきポイントは2点ありました。


 


推測される音響障害 「隔壁による消音」


特定の周波数帯を消音したい場合に使われる技術として長い距離を経由させる方法があります。

レゾネーターキャンセラーなど色々な呼び方はありますがエンジンのサイレンサーなどにも使われる技術で、経由してきた音(オレンジ色)が原音(赤色)にぶつかることで消音する方法です。サイレンサーなどは計算により特定の周波数帯を狙ったりするものですが空間の形によってたまたま引き起こされることもあります。


レゾネーターキャンセラーの図解

アコースティック楽器 ピアノやアコースティックギターの場合は音が断続的であるために特定の音域でのみ影響を受ける場合が多いですがバンドの演奏の場合はある程度のレンジで音が鳴り続ける場合が多いので影響を受けるのではないかと推測しています。


 

想定される改善方法


・隣接する部屋のドアを塞ぐ

・隣接する部屋を吸音する

・ドアの前にパーテーションを置く


などが考えられる方法です。こちらは6月10日に実際に実験してみようと考えています。


 

推測される音響障害 「部屋鳴りの逆位相」



今回、調査に伺った際にホール内ではあまり気がつきませんでしたが隣の空間(お手洗い)を確認している際になにやら低音が聴こえてきました。


簡単に計測してみたところ


計測中の画像

左の赤と青のグラフは無視してください

周波数ごとのレベルを見てみると低域にピークが存在することが分かります。数値で見てみると


40〜63Hz は50dB 80Hzが62dB 100〜315Hzが50dB 


と明らかに80Hzにピークが存在します。この原因ははっきりとは分かりませんが換気扇が怪しそうでした。この部屋で発生した80Hzの音が隣のホール部分に伝わり打ち消し合うことも考えられます。



低周波の広がるイメージ



 


想定される改善方法


換気扇の駆動により低周波が発生している場合はオンオフで改善が見込めます。しかし、換気扇のダクト(その空間)で発生している場合にはかなり対策が難しくなります。音がどこから回っているのかを確かめることが必要で、ピンポイントで場所が分かればその箇所を吸音することで改善は見込めます。



 


【実験に関して】リスニングポイントでどの変化するのかを計測


ホール部分を一定間隔で区切り、周波数特性を計測します。特定の周波数帯域毎に音圧レベルを高さで表現すれば、立体的に周波数毎の状況が把握できるという実験です。


下の絵が汚くて申し訳ないのですが、線と線が接するところで計測していけば、ある程度内部の音環境を数値化(見える化)出来るのではないか?と考えています。(ヒートマップのような見た目になるはず)

リスニングポイントの図解

あくまで推測ですがライブハウスに限らず、特殊な形状をしているお部屋の場合はどこかの位置で今まで出ていなかった周波数帯が飛び出たり、逆に出なかったりするのでは?と考えています。


足立店長はそのあたり、かなり考えていらっしゃるようなので、もしかすると均一に聞こえてるかもしれませんが何か分かれば音響のヒントになるかもしれません。



6月10日の実験に向けて色々準備を進めております! 楽しみです!


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