【アコギの録音】最適なマイク配置とは? キレイに録音する方法を解説
こんにちは!創和防音です!
今回は、アコースティックギターを良い音で録音する方法について解説したいと思います。
コロナ禍でレコーディングに取り組む人も増えたはず…または自宅で楽しむ趣味としてアコースティックギターを始めた方も多いでしょう。ただ演奏するだけでも楽しいギターですが、上達するにつれて「誰かに聴いてほしい!」や「作品として残したい!」と思うようになった方も多いのではないでしょうか?
そんな方のためにアコギの録音のためのマイキングについて解説します!
【録音の方法】DAWソフトについて
DAW(Digital Audio Workstation)とは、音楽制作を行うためのソフトウェアのことです。DTM(Desk Top Music)は、コンピューターを使って音楽を制作することを指します。DAWソフトは、歌やギターの録音、楽器の演奏データの入力などを行うために必要で、DTMの具体的なツールとして使用されます。
ご存知の方も多いかと思いますが、いくつか代表的なものをご紹介しておきます。
・CUBASE(キューベース)
CUBASEの機能性
Cubaseは機能が豊富で、多くのDTMerに支持されています。特にミックスに特化した機能が充実しており、クリップ単位でのボリューム調整や、インサートエフェクトのプリフェーダー・ポストフェーダーの設定が柔軟です。ピッチ・タイミング補正機能やコードアシスタント機能なども充実しており、ディザーにはMAATのLinOneが初期搭載されています。
CUBASEの操作性
機能が多いにもかかわらず、操作性は他のDAWと大差なく使いやすいです。
・Logic Pro(ロジック プロ)
Logic Proの機能性
Logic Proはプロ向けDAWソフトとして必要な機能をしっかり網羅しています。音声のストリップサイレンス機能や、リージョンごとのオーディオトラックの書き出し機能が他のDAWよりも優れています。波形処理はPro Toolsほど柔軟ではありませんが、十分な機能を持っています。特に声優のセリフ録りやナレーション録りには適しており、多くの声優向けスタジオで採用されています。さらに、譜面作成にも強く、元々譜面作成に特化したソフトだったこともあります。
Logic Proの操作性
Apple製品らしく、比較的簡単に操作でき、感覚的に扱えます。ショートカットキーも充実しており、覚えれば操作が素早くなります。2019年のバージョンアップで、サンプル管理がLogic Pro内でできるようになり(Ableton Liveの操作性からヒントを得たと思われます)この変更により、視覚的な見やすさと相まって、さらに使いやすくなりました。
Pro Toolsの機能性
Pro Toolsは作曲家よりもエンジニア向けのDAWで、レコーディングやミックスに理想的な機能を備えています。波形処理に優れており、エフェクトをトラックだけでなく、オーディオクリップ単位で適用できるのが特徴です。部分的に異なるエフェクト処理が可能です。多くのスタジオでPro Toolsが採用されているのは、その歴史の長さだけでなく、これらの優れた機能によるものです。
2022年5月のアップデートでは、フォルダトラックが導入され、複数のトラックをフォルダに分けて自由に開閉でき、バストラックとしてエフェクトのインサートも可能になりました。さらに、Dolby Atmosミックスにも対応し、音楽の表現の幅が広がりました。映画音楽の制作も可能です。
Pro Toolsの操作性
ショートカットキーはエンジニア向けに特化しています。レコーディングやオーディオ処理、ミックスを行う際にはPro Toolsが最適で、慣れると整音作業が非常に早くなります。
操作性の違いやミックス・マスター後のサウンドはそれぞれ特徴があります。好みといえばそれまでですが色々調べながら自分にマッチするものを探すとよいでしょう!
【アコギの録音】 2つの録音方法
アコースティックギターの録音方法は大きく分けて2種類です。
一つは「ライン録音」そしてもう一つは「マイクでの録音」です。
これらをミックスして録音する場合もありますが、今回は一つ一つ解説していきたいと思います。
アコギのマイク録音について
図の上側にあるような接続順が一般的です。役割に応じて分割することもありますが基本的には
アコースティックギター(音源)→ コンデンサーマイクorダイナミックマイク(複数使用する場合もあります)→ マイクプリアンプ → A/D コンバーター(インターフェース)→ PC
の接続順になります。
アコギのライン録音について
図の下側ですが実はギターの内部にマイクが搭載されているだけで接続順は変わりません。
一般的にはエレアコというとオンボードプリアンプというギターにプリアンプが搭載されている場合がありますが、今回はパッシブタイプのマイクも含めて「エレアコ」としています。
画像はアコギにプリアンプが搭載されている例です。
アコギに内蔵されているマイクは大きく分けて4種類あります。
・アンダーサドルピエゾピックアップ
アコギのブリッジ、サドルの下にピエゾ素子を敷いて出力するタイプ
発音が早く(反応が良く)ハウリングに強いことからライブでも使用されます。反面、アコースティックギターの生音とは少し音色が違うのでコントロールが必要です。
・コンタクトマイク
アコギのボディ内部にピエゾ素子を貼り付けて出力するタイプ
2nd factorのAPU-1が代表的な製品として挙げられます。ハウリングに弱く、またマイクをつける位置によってサウンドが大きく変わるので玄人向きですが使いこなせば様々なシチュエーションで役にたつ製品です。比較的アコースティックギターの生音に近い音が出ます。
・コンデンサーマイク
アンダーサドルピエゾとミックスされることが多いですが、内部にコンデンサーマイクを貼り付けて出力するタイプ
コンデンサーマイクというと一番生音に近いと思うかもしれませんがギター内部で収音しているため、ハウリングにかなり弱く、単体での使用はかなり難しいのが実情です。DPAやオーディオテクニカが発売している外付けのタイプのものはかなり生音に近いのですが、演奏性が悪く、またハウリングにもかなり弱い仕様になっています。
・マグネチックピックアップ
エレキギターと同じ方式での出力。サウンドホールに取り付けことが多い
Sunriseが代表的な製品として挙げられますが、Fishmanのコンデンサーマイクとのブレンドシステムも愛好家が多い製品です。バランスの取りやすさと他のマイクではなかなか出力出来ないローの帯域が拾えるので、バンドサウンドでも負けない音作りが可能です。
マイクの種類が違うだけで「アコギの音を電気信号化する」という意味では全て同じことです。
【アコギの録音】マイクプリアンプの必要性は?
画像は定番中の定番マイクプリ FOCUSRITE ( フォーカスライト ) / ISA One
マイクプリとは?
マイクプリはマイク用のプリアンプのことで、ギターやベースにプリアンプを使うのと同様に、マイクを通した音にもプリアンプが必要です。
多くの場合、オーディオインターフェイスに内蔵されているマイクプリを使用しています。オーディオインターフェイスにマイクプリが組み込まれていることは一般的で、特別な高音質・高品質を求めない限り、別途マイクプリを購入する必要はありません。
マイクプリの役割は?
1. クリーンな入力を得るため
マイクプリアンプは、マイクからの小さな出力を高いラインレベルに増幅するための機器です。ほとんどのオーディオインターフェイスに内蔵されていますが、低価格なインターフェイスのプリアンプは音質や柔軟性に限界があり、ノイズや音色の変化が生じることがあります。高品質のマイクプリアンプは、ノイズや歪みを抑えながら、クリーンで正確な信号を提供します。
2. サウンドのカラーを使い分けるため
レコーディングエンジニアは、画家が筆や色を使い分けるように、マイクやマイクプリアンプを使い分けてトラックのサウンドを調整します。例えば、Neve 1073やUA 2108はトランスとディスクリート・アンプを備えており、特有のカラーや特徴を加えます。一方、Grace DesignやSSLのプリアンプは、透明性とクリアな表現力が評価されています。
3. 様々な状況に対応するため
マイクプリアンプには多くの種類があり、様々なレコーディング状況に対応できます。シンプルな2chプリアンプから、ラックマウント式の多入力プリアンプまで用途に応じて選べます。ツアーや移動中のレコーディングにも欠かせない機材です。
ざっくりと説明すると「ノイズを少なくする」「サウンドに味付けをする」「サウンドをコントロールする」という目的でマイクプリは使用されます。
【アコギの録音】コンデンサーマイクは何を選べば良い?
宅録をされる全てのギタリストのテーマです。選択肢を挙げたいところですが数が多すぎて難しいところです。私が使用したことのあるコンデンサーマイクをいくつかご紹介したいと思います。
コンデンサーマイクの王様 ノイマン U87s
安定感抜群 オーディオテクニカ AT4050
初心者はこれから オーディオテクニカ AT2020
マイクを変えれば録音した音は驚くほど変わります。良い悪いではなかなか判断ができないポイントなのでまずは何かをつかってみて、不満が出たら買い替えるというのがおすすめです。
ダイナミックマイクでは録音できない?
ライブやスタジオではダイナミックマイクの方が皆さん馴染みがあるかと思います。一般的にはライブユースはダイナミックマイク、レコーディングはコンデンサーマイクという認識の方も多いとは思いますが録音の際にもダイナミックマイクを使うことは一般的です。
これまでコンデンサーマイクしか使っていなかったという方はぜひ一度試してみてください。
私が録音の際にしていたのは12フレット付近をコンデンサーマイクで録音し、ブリッジ付近をダイナミックマイクで録音するという手法です。ダイナミックマイクはSM57を使用し、迫力を足すイメージでミックスしていました。位相の調整が面倒なので、ミックスは少しなれてきてからがオススメです。
【アコギの録音】 マイキングのポジションと考え方
タイトルにあります本題までようやく辿り着きました。マイキングのポジションですがいくつかセオリーをご紹介したいと思います。
マイキングのポジションは大きくわけて3つ
・ギターのボディーを狙ったもの
・サウンドホールを狙ったもの
・12Fの指板上を狙ったもの
これに加えてマイクの角度
・マイクがネックに対して平坦
・マイクがネックに対して上向き・下向き
などの要素が加わります。
サウンドホール上を平坦に狙った場合は以下のようなイメージです。
音源とマイクの距離によって低音の迫力が変わってくる場合が多いです。近ければ近いほどラウドに、遠ければ繊細なサウンドになっていきます。ピックで演奏する場合にはピッキングノイズが乗ってしまうのでその点も考慮しなければなりません。
マイクの角度はこのように3つに分類されます。それぞれ図で見ると分かりやすいのですが、まず平坦に狙うことでギターボディーとマイクに並行面ができます。ざっくりというと反射面になるということです。これを極端に嫌う方もいらっしゃいましたが一度試してみるのも良いと思います。
マイクの角度は上向きの場合と下向きの場合で、各弦との距離も変わります。「このポジションで!」と決めるのではなく、その日その場でベストなポジションを探すという意識の方が良いような気がします。
マイキングのポジションもやはり、曲やギターによって使い分けるのが一般的で、その都度試してみるのが良いかと思います。
12フレット上サウンド以外はあまり使わないことも多かったですが、状況によってミックスする場合もあります。重要なことは「パターンをいくつか持っておく」「柔軟に使い分ける」ことだと思います。
アコギのレコーディングと部屋環境
ながながと書いてきましたがサウンドと合わせて考えなければいけないのは録音する部屋の環境です。録音された部屋の環境というのは露骨に音に現れます。
問題としてよくあがるのは
・外部のノイズが入ってくる環境ではアコースティックの楽器は録音しにくい
・部屋の調音ができていないと録音したものが変に聞こえる
ノイズを除去できるプラグインもありますが、やはり限界があります。こういう場合は思い切って防音室にしてしまうのがオススメです!
創和防音にご依頼頂ければ、「外部、内部からの音の遮音」と「お部屋内部の音の調音」も合わせてご提案させて頂きます。
詳しくは下記バナーからHPをご確認ください。
Comments